国際線CAに聞いてみた、幸せのレイアウト術

vol.4

CAの街角レポート
「家具も人も、優しいフィンランド」


こんにちは。大塚家具の小川美絵です。私たち大塚家具は現在、「幸せをレイアウトしよう」を企業スローガンとして掲げています。キャビンアテンダントの方は世界各国のインテリアはもちろん、衣食住にも精通し、その中で自分らしいライフスタイルを選択し、実践しています。その生き方はまさに、「幸せのレイアウト」を体現していると言えます。そんなキャビンアテンダントの方から、さまざまなお話を伺っていく本連載。

第4回の今回は、フィンランドの航空会社に勤務し、日本とフィンランドの両方で生活をおくる辻本亜依良さんに、「人も家具も“優しい”」というフィンランドについて伺いました。

  • “自分らしく、心豊かに生きる”フィンランド人
  • 家族との時間がなによりも大切
  • 家具は壊れたら補修が基本。長く大切にモノを使う文化!
  • 人だけじゃなく、家具も人に優しい!
  • 食器や雑貨など、街にあふれる“優しさ”に満ちたモダンデザイン。

Lesson.1

“自分らしく、心豊かに生きる”
フィンランド人

辻本さん

小川 辻本さんは、どれくらいの頻度で日本とフィンランドを行き来されているのですか?

辻本 私はフィンランドの航空会社のキャビンアテンダントとして、日本とヘルシンキ間を月に3〜4回ほど往復しています。

小川 なぜキャビンアテンダントという職業を選んだのですか?

辻本 世界を飛び回るCAという仕事は、小さい頃から憧れていた職業でした。
また、働きながら興味のあったヨーロッパのさまざまな国の文化に触れられるのも魅力だと思い、CA を志望しました。

小川 そうなのですね。現在は、北欧の国・フィンランドの文化や考え方に触れる機会が多いと思うのですが、どんな印象をお持ちですか?

辻本 本当に、優しい人が多い国です。悪い人に出会ったことがありません。フィンランドは過去に、スウェーデンの領地だった歴史があります。そうした経験が、人への優しさに満ちた国民性を育んだのかもしれませんね。
フィンランドの方は、家族を何よりも大切にしますし、男女平等で、男性が家事をすることも当たり前です。また、北欧の多くがそうであるように、フィンランドも社会保障が手厚く、子育てをしやすい環境が整っています。

小川 人が優しくて、男女平等、子育てもしやすいとは、ぜひ訪れてみたいですね。他にフィンランドの方と接していて何か感じることはありますか?

辻本 そうですね、フィンランド人は、誰もがしっかりと“自分”を持っていて、“自分らしく生きている”ように感じるのも特徴です。

小川 そうなんですね。それは小さい頃からですか?

辻本 はい、そうだと思います。ショッピングモールでも、子どもがひとりで、自分の感性で歩き回っている光景を見ることもあります。安全な国ということもあり、少しくらい目を離しても大丈夫、という安心感もあるからできることだとは思いますが。

小川 子どもの頃からしっかりと“個”を持って行動しているから、大人になっても“自分らしく”生きられるのかもしれませんね。

辻本 そうですね。だから、フィンランドの方と働いていると、とても気持ちがいいんです。それは、自分らしい人たちに囲まれていることで、私自身も“私らしく“いられるからです。フィンランドの方はしっかりとワーク・ライフ・バランスを保ち、人生を楽しく生きています。

小川 “自分らしく生きる”。それが自然にできているのはとても素敵なことですね。

Lesson.2

家族との時間がなによりも大切

小川ヨーロッパの方は全般的に、家族を大切にするイメージがありますが、フィンランドの方もそうなのでしょうか?

辻本 はい。その中でも、フィンランドの方は特に家族との距離が近いですね。ほぼどの家庭も、郊外にセカンドハウス(サマーコテージ)を持っているのですが、これはバケーション(夏期の長期休暇)用で、その期間は家族とのんびりと過ごすのが一般的で、フィンランドの方の一大行事になっています。
そのためフィンランドでは、バケーション期間に人員が不足するので、夏限定のCAの募集があるほどです。

家族との時間がなによりも大切

小川 フィンランドの方にとって、家族と過ごすことが、いちばんの休息なのですね。

辻本 そうですね。

小川 ちなみに、サウナ好きな方が多いと聞きますが、サウナもご家族で楽しまれるのですか?

辻本 はい。バケーションの際は、サウナで汗をかいて、湖に飛び込む、を繰り返すなんてこともするそうですよ。

小川 それは何だか、とっても楽しそうな遊びですね。

辻本 そうですね。健康法のひとつと聞いたことがあります。また、こういったスイミングに加えて、カヌー、ガーデニング、キノコ狩り、ブルーベリー狩りも家族で楽しむことが多いようです。

小川 家族と、自然と、めいっぱい触れ合うのですね。

辻本 そうですね。彼らは本当に、家族が大好きなんです。だから、家族との時間を普段からとても大切にしています。

小川 とても素敵ですね。

Lesson.3

家具は壊れたら補修が基本。長く大切にモノを使う文化!

リサイクル、エコ先進国
フィンランドは国土の60%以上が森林、自然あふれる国

小川 家族仲がいいとなると、日頃からフィンランドの方は、家で家族と過ごす時間も長いのですか?

辻本 はい。フィンランドの冬は寒いですし、気候的にも家にいる時間が長く、家族で過ごすことが多いですね。だからこそ、インテリアにもこだわりを感じられます。
昔から代々受け継がれてきたものと、新しい家具を上手く調和して、華やかさのある心地いい空間を作っています。

小川 家具を受け継いで使うこともあるのですね。

辻本 はい。フィンランドの方は“いま、あるものを大切にする文化”と“モノを大切にする心”を持っています。いわば「足るを知る」の精神だと思うのですが、現状に感謝しながら、心豊かに暮らしています。
壊れたら捨てるのではなく、壊れたら補修して、長く大切にモノを使うんです。それでも使えなくなったら、捨てるのではなくリサイクル。エコ先進国でもあるんです。

小川 使い捨ての文化ではなく、いいものを長く使うという考え方が根付いているのですね。

辻本 私もそう思います。フィンランドは国土の60%以上が森林という自然あふれる国です。そうした考えは、自然の恵みを知る彼らだからこその思想であり、それが優しい国民性にもつながっている気がします。

Lesson.4

人だけじゃなく、家具も人に優しい!

部屋のインテリア、カラフルで、自然をモチーフの花柄、草木の柄
フィンランド、トータルコーディネート

小川 “優しさ”が随所に見られるフィンランドですが、家具からも優しさを感じられることがありますか?

辻本 そうですね。使い手のことを考えたもの、デザイン性よりも機能性に富んだものが多いかもしれません。丸みを帯びたデザインが人気で、見た目から優しさを感じられるものもあります。

小川 家具まで優しいとは、さすがですね。色使いはどうでしょうか?

辻本 部屋のインテリアはカラフルで、明るい印象です。自然をモチーフにした花柄、草木の柄がよく使われています。
また、フィンランドは日照時間が限られていることもあって、太陽を感じられる色を好むことから、室内は明るく飾りたい人が多く、赤系や暖色のものが人気ですね。テーブルマットやコップなどの小物に、赤いものを使う家庭が多いです。
トータルコーディネートという意味では、さまざまな柄を組み合わせるのが上手です。日本だと同じ柄を揃えるようなものでも、フィンランドでは異なる柄を組み合わせる、ということもありますよ。

小川 食器やクッションとか?

辻本 はい、そうです。フィンランドの方は少しずつ買い揃えていくので、食器もまったく同じものではなく、バラバラです。それなのに不思議と統一感があります。

小川 それはきっと、しっかりと自分のスタイルを持って選んでいるからでしょうね。

辻本 そうだと思います。日本との違いという点では、子どもにも陶器の食器を使用することが挙げられます。

小川 日本だと割れないプラスチックのものを使う家庭が多いですよね。

辻本 あえて落とすと割れてしまう陶器を使うことで、モノを大切に扱うということを幼少期に学ばせているようです。

小川 モノを大切に使う精神は、子ども時代から育まれているものなのですね。

辻本 はい。ですから子ども時代の食器を大人になっても使っている人に出会う、なんてこともあります。そうして、長く大切にモノを使いますから、家具はシンプルで使いやすさを追求したものが多いですね。そうしたものを“タイムレスデザイン”と彼らは呼んでいます。

辻本さんと小川さん

小川 長く飽きのこないデザインのことですね。

辻本 ヴィンテージソファとなると、100年以上の歴史を持つ、なんてものに遭遇することもありますよ。フィンランドの方は本当に家具が大好きで、お持ちの家具の話をされる方が多くいらっしゃいます。

小川 家具が好きだからこそ、こだわって選ぶ方が多いのでしょうね。

辻本 はい。初めてのお給料で椅子を買った、という方もいました。しかもその方はいまもその椅子を愛用されています。

小川 いいものだからこそ、長く大切に使っているのですね。

辻本 はい。使い捨て、という考えではなく、いいものを長く使う、という考え方には私も深く共感しました。

Lesson.5

食器や雑貨など、街にあふれる“優しさ”に満ちたモダンデザイン。

食器や雑貨、街にあふれる“優しさ”に満ちたモダンデザイン
食器や雑貨、街にあふれる“優しさ”に満ちたモダンデザイン。

小川 フィンランドの街並にはどんな印象をお持ちですか?

辻本 首都のヘルシンキでは、世界に知られる“フィンランドのモダンデザイン(使う人に優しく、使い勝手に優れたデザイン)”を街の至るところで見かけます。
街並自体はとてもシックですし、シンプルです。人口密度も高くないですから、人混みに遭遇することもありません。落ち着いた印象の街ですね。しかしお店に入ると一転、カラフルで、外観とは全く異なる印象です。自然と心もほっこりするような内装になっています。

小川 外観はシックで、中はカラフルというのは面白いですね。ちなみに、フィンランドにあふれる“優しさ”は街でも感じられるものなのですか?

辻本 はい。街でウィンドウショッピングをしていても、使い手のことを思って作られたことが伝わる日常品にたくさん出会います。それは家具だけでなく、食器や雑貨などもそうです。見た目の良さだけでなく、使いやすく耐久性にこだわったものが多く、手を伝って作り手の温もりや“優しさ”が感じられます。

小川 買い物する側も優しい気持ちになれそうですね。こうしたフィンランドの街や文化に触れたことで辻本さんご自身が変わったことはありますか?

辻本 日常を自分らしく楽しむ工夫をするようになったことでしょうか。たとえば、ものをひとつ買うにしても、自分が手に取って心地いいもの、目で見て楽しいもの、そして、できれば長く使えるものを選ぶようになりました。それはきっと、フィンランドの方の“優しさ”を、私も自然と生活に取り入れたいと考えるようになったからだと思います。

小川 異文化に触れて、いい部分を取り入れていく。そうすることで自分の日常も自然と豊かになりますよね。本日は素敵なお話をありがとうございました。

辻本 そうですね。こちらこそ、本日はありがとうございました。

Guest

  辻本 亜依良(つじもと・あいら)

Profile

辻本 亜依良(つじもと・あいら)

大学を卒業後、アメリカ系の航空会社に入社し、シンガポールベースのCAとして2年半勤務。帰国後、画廊にてアシスタントを経験したのち、再びCAとして働き出す。現在はフィンランド系の航空会社に入社して4年目。セールスモチベーターとして機内免税品の売り上げアップを目指す。リフレッシュ法は、休みの日のピラティスと料理。趣味である旅行の際は、美術館とカフェ巡りを欠かさない。

Interviewer

 

Profile

株式会社大塚家具
小川美絵(おがわ・みえ) 
IDCインテリアスタイリスト

ショールームでのコンサルティング営業を経て、商品の企画開発、販売促進などに携わる。
現在は営業企画部にてマーケティング、営業企画などを担当。

 

Next 次回予告

次回は、CAのお部屋公開。

世界を飛び回り、さまざまな国の文化に触れるCAの方たち。
そんな彼女たちは、自分の部屋に、海外のどんな要素を取り入れて、
空間を演出しているのでしょうか。
お部屋を見せて頂き、こだわりの家具やインテリアコーディネートの
ポイントを紹介してもらいます。お楽しみに!

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