目次
- 1 一枚の皮をどのように使い切るかで価値が変わる
- 1.1 本革なのに安いのはなぜ?
- 2 意外と知らない!「皮」と「革」の違いについて
- 3 扱いやすい革にするために必要不可欠な「なめし」加工
- 3.1 なめしの目的とは?
- 3.2 なめしの種類は用途に応じて2種類あります
- 3.3 なめされて革になる部分は皮の表面ではない
- 4 牛革の種類
- 5 革には「ナチュラルマーキング」や「シボ」という個性がある
- 6 革の「染色」で風合いは大きく異なる
- 6.1 革の染色方法と塗装
- 6.2 革の味を最大限に活かした「アニリン染め」
- 6.3 見た目と使い勝手の調和のとれた「セミアニリン染め」
- 6.4 水や汚れに強い「顔料仕上げ」
- 7 まとめ
一枚の皮をどのように使い切るかで価値が変わる
革には繊維があり、革の部位によって繊維の密度に大きな差があります。背部や尻部では密度が高く、腹部や脇部では密度が粗く強度も弱いです。また、ナチュラルマーキングを避けて裁断するため、丸皮 (裁断しない一枚の皮全体)をどのようにどこまで使い切るかで価値も値段も変わります。ナチュラルマーキングやシボのムラを避けた美しい革ほど裁断が難しく、希少価値が高まります。
本革なのに安いのはなぜ?
「本革」 と表記されているにも関わらず安価なソファは、表面の傷を削り、四方に薄く伸ばし、その上から型押しをして顔料塗装で仕上げているものが多くあります。また、中には「銀面」ではなく、「床革」を使用した製品もあります。「床革」 は 「銀面」 の革に比べると伸びやしなやかさに欠け、また繊維が粗い分、耐久性が弱い事も否めません。そのため、製革原料としては価値が低く、かつては作業用手袋に多く使用されていました。 現在では表面を厚く塗装し、プラスチックシートを積層するなどして、一見「床革」に見えないような革が様々な用途に利用されています。
意外と知らない!「皮」と「革」の違いについて
「皮」と「革」。どちらも「かわ」と読みますが、それぞれ加工の有無によって区別されています。動物から剥いだ生の状態のものを「皮」と呼ぶのに対し、なめし加工を施し丈夫で長持ちするように手を加えたものを「革」と呼びます。
革の産地はヨーロッパやオーストラリア、北米、南米などが主に挙げられます。原皮は食肉の副産品なので、食肉の生産量が多いアメリカやオーストラリアなどの国に特定されます。このように原皮の産地はいくつかありますが、その中でも特に良質とされるのは山岳地帯で飼育された牛の皮です。山岳地帯は虫やダニが少なく傷を受けにくいため、比較的キレイな状態の原皮となるようです。
扱いやすい革にするために必要不可欠な「なめし」加工
革の製造工程は、準備工程、なめし工程、再なめし、染色、加脂工程、仕上げ工程に分けられます。その中で、なめしの工程はなめし剤でコラーゲン繊維からなる皮組織を固定、 安定化し、革としての基本的性質を付与する作業といえます。
なめしの目的とは?
革に安定性・柔軟性を持たせる
原皮のままではコラーゲン (動物性たんぱく質繊維) が空気中のバクテリアによって 分解され、形状を保つことができません。 なめしの工程で腐敗しやすい動物の脂を除き、 柔らかくするために合成の脂を再度入れます。
使用目的に合わせた耐久性を持たせる
使用目的にあった厚さや硬さを持たせたり、 耐久性・摩耗性を与えることができます。
なめしの種類は用途に応じて2種類あります
クロムなめし
三価クロム塩などを用います。しなやかで柔らかな革に仕上がります。保存性・染色性・耐摩耗性に優れるため、靴・鞄・衣料品・インテリア用品等広範囲で使用されます 。
タンニンなめし
植物タンニン(渋) を用います。 クロムなめしに比べて、 伸縮性・弾性が小さくなりますが、 堅牢で摩耗に強くなります。 用途はベルトや鞄 (ヌメ革※) 多脂革 (馬具) などです。
※ヌメ革とは、タンニンなめしを施しただけの、染色・ 塗装がされていない革のこと。革そのものの風合い、味わいが魅力です。高い強度と長く使うほど馴染んでくるという 革製品の魅力を併せ持っています。
なめされて革になる部分は皮の表面ではない
動物の皮の構造は組織と性質が異なる表皮と真皮の2層からなっています。 表皮層はなめし工程の前の脱毛処理で除かれます。 真皮層は主にコラーゲン繊維からなり、なめされて革となるのはこの部分です。 真皮層はさらに乳頭層と網状層に区分され、乳頭層の上面は革となったときの 表面となる部分で銀面(ぎんめん)、網状層は床革 (とこがわ) と呼ばれます。
牛革の種類
最も一般的な革であり、市場に多く流通するのが牛革です。大塚家具で取り扱っている商品もそのほとんどが牛革を使用しています。
使用する部位や牛の年齢によって用途や風合いは大きく異なり、製品化された値段にも大きな違いが出てきます。
カーフ・スキン
生後6ヶ月くらいまでの革。組織がもっとも細かく、しなやかで傷が少ないのが特徴です。
キップ・スキン
生後6ヶ月から2年くらいまでの革。カーフよりもキメは粗くなりますが、厚くて丈夫です。また、銀面のキメ細やかさや滑らかさは成牛に比べて美しいです。
カウ・ハイド
出産経験のある生後2年ほど経過したメス牛の皮を加工した革。キメが細かくステアハイドより薄くて柔らかいのが特徴です。また、カーフスキンやキップスキンより厚みがあり丈夫です。出産を経験した雌牛は、腹部の革が伸びやすく繊維密度はやや粗くなります。
ステア・ハイド
一般的に牛革とよばれる生後2年を経過した雄牛の革。生後3ヶ月から6ヶ月の間に去勢することで、去勢されていない雄牛の革(ブルハイド)と比較して革質がやわらかく厚みが均等になります。去勢することで気性が穏やかに育つため、身体の傷が少なくなります。
ブル・ハイド
生後3年以上経った繁殖用の雄牛の皮を加工した革。繁殖用として去勢されずに育った雄牛は、革が硬く丈夫になります。その反面、気性が荒く喧嘩が絶えないため、革表面のキメが粗く傷が多いのが特徴。
※「靴底」、「工業用革」など頑丈さを必要としている部分に使用される事が多い革です。
革には「ナチュラルマーキング」や「シボ」という個性がある
木材に年輪や節、虫食いの跡があるように、皮革にも生きていた証が残っていて、これを「ナチュラルマーキング」と呼び、革表面の数のことを 「シボ (自然のものと人工のものがあります)」と呼びます。 技術の進歩で加工や塗装 (アニリン染め、セミアニリン染め、顔料染めなど) 段階で隠されるものもあります。これらは天然素材の持つ特徴であり、同じものは世界に二つとありません。革の耐久性には全く問題がありませんので、革の個性として楽しみましょう。
革の「染色」で風合いは大きく異なる
革の染色方法と塗装
ソファの色や風合いなど好みの問題以外にも、家族構成や生活スタイル、または 不特定多数の利用者が想定される公的なスペースへの設置など、使用環境や使用する頻度によって、最適な染色方法や塗装は異なります。
革の味を最大限に活かした「アニリン染め」
染色後、 表面を保護する程度にごく薄くコーティングを行います。染色後もシワや傷等の天然の跡が残ります。革、部位によって色の濃淡が出るのも特徴です。表面の塗膜が薄いため、とくに柔らかな肌触りで、体温も革に伝わりやすく温かな感触です。塗膜が薄いため、シミにならないように汚れたらすぐ拭きとることが大切です。使える部分が限られることもあり、高価なものが多くなります。
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1,650,000円(税込)
背、座、アームそれぞれに厚さ5mmの雄牛一枚革を贅沢に使用したソファです。約5mmという革の厚さながら、そのしなやかなで上質な質感をぜひ味わってください。革の張り込み作業をひとりの職人が一貫して行うことで、ソファ全体のバランスが美しく整えられています。
見た目と使い勝手の調和のとれた「セミアニリン染め」
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カウチソファ 向って右カウチ「L/S 55(エルエス55)」
437,800円(税込)
革本来の質感を活かしつつ傷や汚れがつきにくいセミアニリン染めのカウチソファ。しっとりとした革の手触りをお楽しみいただけます。モダンなスタイルが、洗練されたリビング空間を演出します。
水や汚れに強い「顔料仕上げ」
塗装仕上げとも呼ばれ、顔料で表面塗装を行います。塗装で革表面の穴や凹凸が埋められた状態になるため、アニリン、セミアニリンに比べて表面が均一になります。塗膜が厚く革の持つ特徴はほぼ完全に覆い隠されます。そのため、体温が伝わるまで時間を要し、夏場は蒸れやすくなります。ややごわついた感触になりますが、丈夫で汚れも簡単に拭きとることができます。傷等が隠れるため革を効率よく使え手頃な価格帯です。
まとめ
このように、皮をどのように加工し、染色し、裁断するかによって革の価値が大きく異なります。一概には言えませんが、高級な革になればなるほど表面に傷やシボのムラがなく綺麗な状態の革になるようです。しかしながら、革は自然の産物です。ナチュラルマーキングやシボのムラなどを楽しめるのも革の魅力の一つです。実際に色々な革に触れて感触を確かめることで、あなたに合った革ソファに出会えると思います。まずは心置きなく色々な商品に触れてみてください。
また、大塚家具では革張りソファの他にも、さまざまな素材のソファを取り扱っております。
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