漆家具
「輝き」と「精緻」の共演「漆家具」
透明な輝きと光沢、芸術とも言うにふさわしい精緻な彫刻が魅力の漆家具。
漆家具は、日本が世界に誇る特有の工芸として、海外では「ジャパン」と呼ばれています。漆の代表格である黒漆ほか、朱漆、飴色の透明感が特徴の溜塗がよく親しまれています。漆を何度も塗り重ね、研ぎ、磨くことにより、生まれる色と形。 華やかさのなかにしっとりと落ち着いた味わいがあり、透明な輝きと奥からにじみでる光沢のある艶は、月日が経つごとに艶を増し、味わいを深めていきます。
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漆について
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漆は日本や中国、インドシナ半島に生育するウルシノキから採れる樹液からできています。特に国産の漆は最良とされ、現在では希少価値が高くなっています。乾燥すると熱や水に強くなり、非常に長持ちする優れた性質が特長です。
主な漆家具
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香川漆芸とは香川県で生産される漆器で、江戸時代前半の寛永15年に水戸徳川家から高松藩に入封した松平頼重が漆器や彫刻に造詣が深くこれを復興したことが始まりです。江戸時代末期に玉楮象谷(たまかぞうこく)は、大陸伝来の彫漆、蒟醤、存清の研究から独自の技法を創案し、やがて香川漆芸の基礎を築き上げました。現在ではその3つの技法に加えて、後藤塗、象谷塗の5つの技法が伝統的工芸品に指定されています。
漆家具について - 代表的な塗装技法
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蒔絵とは漆器に絵画模様等を漆で描き、金銀粉を蒔き更に加工研磨したものです。蒔絵は奈良時代に発祥して、多くの調度品、仏教関係の器具、武器等の多くの広範囲に応用し、その特色を発揮して藤原時代にはこれを建築装飾に用いて、中尊寺金色堂は豪華絢爛を極めました。また、高台寺の蒔絵装飾は、創作した名匠本阿弥光悦と尾形光琳が蒔絵界の異彩を放ち、新時代を築きました。保守派の幸阿弥、五十嵐、古満の銘豪は、伝統の蒔絵法を固守しながらもその特徴を発揮して技巧の極致に達し、諸侯の調度品、茶道の諸器、装身具等にいたるまで応用しており、正倉院の御物をはじめ後世に貴重なる多くの名器標範を遺しています。
彫漆は、器物の表面に何層にも重ねられた漆の層を彫り、立体感のある美しい模様を作り出す技法として、中国の唐代から始まり、日本に伝えられました。漆塗りのなかで最も漆の特徴が生かされた技法で、多いものだと二百回以上も重ねた漆の層を考慮しながら、精密に計算された剣(ケン)の動きによって絵模様を彫り浮かべていきます。繊細な神経が行き届いた名品が多く製作され、かつては重要無形文化財彫漆技術保持者(人間国宝)故音丸耕堂を生み、今日幾多の名匠がこの世界で活躍しています。
中国の名匠、「存清」が制作したことから、「存清」の名がこの技法の名称になったと伝えられています。存清は、黒色・黄色・赤色等の塗上がりの漆の上面に色漆をもって、適当な模様を描き、その図案の輪郭を絵画の骨描式に剣(ケン)で毛彫りをし、あるいは金泥をもって隅取ったり毛彫りした線内に金泥を埋めたものです。
塗りたての乾かない朱漆を、指先で直に叩き斑紋をつくる技法。縦横にリズミカルにたたいた指跡の凹部には漆が厚く溜まり、凸部には研がれ、朱色の微妙な濃淡が生まれます。
幾重にも重ね塗りをした漆の塗面に、剣(ケン)という特殊な彫刻刀で文様を彫り、その凹みに色漆を埋めて研ぎ出し、磨き上げながら仕上げるもので、美しいグラデーションがかった紋様が魅力です。蒟醤の技法は名匠、玉楮象谷翁の手によって研究が重ねられ、昭和27年には蒟醤の技法が重要無形文化財に指定されています。
象谷塗りは、水辺に生息する稲科の多年草 真菰(マコモ)の粉を、塗り重ねた生漆の地に打ち、拭き漆で仕上げたもの。凹凸面に塗りと拭き取りを何度も繰り返す手の込んだ工程により、異なる艶感の妙を味わえる粋な意匠が特徴です。